轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
おたくの小説なんか、よく読んでいますよ。――あら、もうお銚子は空か」
「マキ、お代り」と私はねえさんに言った。
*
その年の一の酉は十一月一日で、私は別に信仰心も興味もないので、お酉さまへは行かなかった。
十一月三日。明治節。この日、小柳雅子は慰問団に加わって、東京駅三時発で中華へ行くのである。一月ばかりは帰ってこないだろうから、出発前にぜひとも一度会って食事を一緒にしたいと思っていたのだが、とうとうその機会は得られなかった。客席からひそかに私は舞台の彼女に「元気で行ってらっしゃい」と言うことは言っていたが……。
三日は雨降りで、東京駅へ送りに行こうかと思ったが、見送りの人がたくさんいるなかの、恰好のつかない私の恰好を想像すると、到底行けるものでなく、その時刻に私はアパートの窓から外を眺めていた。田原町の仁丹の広告灯が、――電気のつかない昼間の広告灯というのは、さらでだにしょんぼりとしたものだが、冷たい雨にずぶ濡れになって佗しく情けなそうに立っているのが、私の眼に入り、屋根ばかりしか見えない窓外の索寞とした景色のなかで、特に私の眼をひくものといったら、それだけなのであった。