轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
――楽屋は、踊り子が出払って、がらあきで、楽屋着などが雑然とぬぎすててあるなかに、朝野がひとり泰然自若として坐っていた。「まあ、あがらんですか」
自分の部屋ででもあるかのような声だったが、雑貨屋の二階の自分の部屋へは決して私をあがらせない朝野だから、余計奇妙な感じであった。それはともかく、がらあきなのにつけ込んで私は上り込み、そこで楽屋の内部をはじめて堪能するほど眼に収めることができた。
細長い部屋の両側に、鏡台がずらりと並べてあって、多くは小さな卵形の赤い鏡台だった。北向きの片側は窓になっていて、そこから乏しいながら明りが入ってはくるのだが、鏡台の上の方にこれまたずらりと、商店街の街灯のように電灯が並んでいる。電灯で暖を取るという話を前回に書いたが、その部屋の複雑な臭いを含んだムッとしたうん気には、そうした電灯の熱がすくなからぬ作用を持っているように感じられた。そうしてその電灯の上には、たしかに物干用と見られる紐が回してあって、洗濯した靴下、多くは最近流行の私の嫌いなあの人参色のもの、それに鼠色した下着といったものが掛けてあるが、電気の熱でもって乾かすのであろう。