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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
朝野と昼の広小路を歩いてから数日後、夜の広小路で私はドサ貫に会った。マスクをかけていて、顔ははっきりしなかったが、しかし私にはすぐドサ貫とわかった。私は牛めしを食いに行くところだったので、
「どう、一緒にカメチャボを食わない」
とドサ貫を誘ったのであった。
小屋の連中がひいきにしている「田中屋」という牛めし屋の暖簾をくぐって、ドサ貫がマスクを取ったのを見て、私はこれはと驚いた。光線の加減かとも思ったが、それにしてもひどいやつれようで、まるで死人のような顔である。ドサ貫はその顔を隠すように、手を頬に当てて、(その手が女のみたいに白く細いためか、ちょっと女形のしなのようで、妙な色っぽさがあった。)
「ミーちゃんにお会いで?」
「――いや」
間を置いて、
「マーちゃんにお会いですか」
「――いや」
屋台にはジャンパーやもじり客がつまっていた。その忙しい最中に、屋台のおやじは小皿に汁を取って味見をしている。幾分わざとらしい感じもするその手付に、私たちはなんとなく眼をやっていた。やがてドサ貫が、
「但馬さんが来るそうですよ」
「ほう」
顔は鍋から立ち昇る熱気で蒸されながら、足は寒い風にさらされて、妙な工合である。