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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
眼を細め、しかし口もとは苦そうにして盃をぐいと傾けたのち、
「ところがねえ、簡単に会えないの」
「どうして」
「東京にいないんだもの」言葉が親しみをこめて漸次乱暴になっていく。
「そりゃ、つらい。どこにいるの」
「――静岡」
「静岡、ふーん」
別れている理由を尋ねるのは控えた。――彼女たちの世界では、男女関係がちょっと常識で考えられない乱れを見せていて、たとえば、こんな会話を私はよく聞くのである。「――A君は元気かい」「腐ってるようだね」これまではいい。これは、どこででも聞かれる普通の会話だ。だが、それからきまって次のような言葉が追加される。「――A君はB子とまだ一緒かい」「なんだか、まだ一緒らしいね」一緒なのが不思議みたいな調子だ。
私は、うっかり聞いて、――彼女の言いづらい別居だったりしたらと思って控えたのだが、こっちが黙っていたため、かえって彼女の方で言った。
「――病気で郷里へ帰ってんの」
「ふーん。――こいつ、つままない」肉をすすめると、
「肥るから……」
首を振った。膠もなく断わる感じで、普段なら、「これ以上肥ったら大変だから」といったような冗談口のあってしかるべきところだったが……。