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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
という茶店に寄った。夏のうち、よくそこで食べた三盃酢のところてんを、――涼しくなると共に忘れていたが、ちょうど無理に詰め込んだお好み焼で胸がやけていた折柄、食べようと思いついて、美佐子を誘ったのだ。「――寒いわね」と美佐子は言ったが、反対はしなかった。
瓢箪池の島には「おまさ」のほかに、そうした店が左手にもう一軒あって、これは私たちが橋の上から眺めていたネオンの方へ向いていて、この店は反対側の噴水のある方に向けて縁台を並べていた。夏向きでこの季節むきではない縁台に腰をおろすと、瓢箪池がまるでこの店に属している私有の池のような感じで眺められた。美佐子も、ところてんを注文した。
さて因縁の話だが、――気になるから聞かせて貰いたいと私としては珍しく強気に、要求的に言ったのである。美佐子が何やら私にふくむところがあるような感じでズケズケ言ったことが、反射的に私の気をも強くさせたのである。――美佐子は口を吸盤のようにとがらせて、ところてんをツルツルと吸い込んでいた。
「どういうんだか知らないが、――聞かせてほしいね」
美佐子は皿を持った手を膝に置くと、
「前の奥さんにお会いになります? 今なにしてらっしゃるの」