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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

そりゃ面白いから。実に勇敢だったらしい。いい話を、そりゃフンダンに聞かせてくれますよ。もっとも、巧く持ちかけないと、――奴さんの機嫌のいい時をねらって、話をひき出すようにしないと、変った男だから、自分ではなかなかしゃべろうとしないですな。――腿ンところなんですね。それで帰されたんだが、――病院にずっといて、癒ったから家へ帰ったんだろうが。見たところなんでもないようで、やはりまだ舞台に立つと、――ながく立っていると、痛んでくるとか痺れてくるとか。で、まだ当分出られないと言っているが、本人の気持じゃ、もう漫才の舞台に出たくない、舞台はいやだ、そんな気持じゃないのかしら。といって、お好み焼屋のおやじで満足しているわけじゃないし……」

朝野は分厚いコップを口に当てた。

「芸人がいやになったんですかね」

私も、重たいコップを持ち上げ、コップの縁が、唇を当てるとへんに滑らかなのに気味の悪い想いをしながら、透明な強烈な液体を一口ふくむと、急いで水を飲んだ。

「そうじゃないんですよ」

と言って、朝野は、伸びた爪に黒いものをいっぱい溜めた、そしてこれも垢じみて汚い手の甲でベロベロと唇を拭って(――何か泡盛屋の酔いどれらしい、きたならしい感じだった。