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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
「――芸の小説より、ネタでごまかして客を釣る素人小説の方が幅をきかせているんじゃないですか、僕は惚太郎と同じ心境ですな。ケッ! 胸糞が悪い!」
挑むような声だった。だが、すぐ顎の手を外し、首をガクッと落すと、急に弱々しい媚びるような声になって、
「いや、僕が小説を書かないのは、――書かないんじゃなくて、書けないんですよ。――僕は駄目ですよ。ああ、なんにも言わないで……。僕は駄目なんですよ」
――私は酩酊した。
酩酊すると、私の頭のなかで可憐な小柳雅子が乱舞しはじめた。私は小柳雅子の名を唇にのぼさずにいられなくなった。
「K劇場の小柳?」
と、朝野が言った。「K劇場なら僕の縄張りじゃ。縄張りを荒すとはけしからん」
冗談のようでもあり、本気のようでもあった。そうした朝野は酔っているようでもあり、酔ってないようでもあった。
「荒すも荒さないも、まだ一口だって口をきいたこともないんで……」
と、私は言った。私は自分の言葉で胸をつまらせ、おや、泣き上戸になったかなと思った。「――僕はただ彼女が舞台で踊っているのを客席の隅から見て、胸を躍らせているだけで……」
「これはまた……」