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あんごしんにほんふどき
安吾新日本風土記
03 第二回 富山の薬と越後の毒消し≪富山県・新潟県の巻≫
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,916 字 · 46 页
「キミ、女学校出?」
「嘘らて。パーマネントの学校らがね」
どの子も率直そのものである。必らず方言で答えるから、方言の心得がないと意味が分らない。新潟では「た」を「ら」と発音するのである。
昭和のはじめごろまで、この岩室から半玉ででた娘の中で美しいのが新潟へよばれて一流の芸者になり、その中からまた新橋の一流がでるというように、ここは美人芸者の産地として名高かったのである。タンボからあがっていって一流になったわけだ。近ごろはここの芸者もここから動かなくなり、したがって天下の一流がここからでたということは絶えてきかなくなったそうだ。いま代表的という半玉を全部よんでみたが、美人というほどの美人はいなかった。ただ率直で、開放的で、気持がよかっただけである。このあたりの娘たちの開放性は、南国の、たとえば日向あたりの開放性とよく似ている。北と南は案外似ているのである。気取りがないのだ。
新潟県に限ってその土地の生れでないと芸者のハバがきかないのは、ちょッと面白い現象だ。あるいは貧乏のせいかも知れない。美しい娘はその土地で芸者にひろわれ、美しくない娘は他国へ働きにでなければならなかったような理由によって、土地で芸者にでられたということが選ばれた誇りになりえたのかも知れない。