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あんごしんにほんふどき
安吾新日本風土記
03 第二回 富山の薬と越後の毒消し≪富山県・新潟県の巻≫
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,916 字 · 46 页
芸者に限って他国者はほとんど入りこむ余地がない。土地の女でなければ一流とは見なされないのだ。
しかし越後の農家が貧乏だというのも今ではガラリと変っている。貧乏どころではなくなったのだ。戦前の越後平野というものは、田地は少数の大地主の持物で、農民のほとんど全部が小作人であった。自分の農地を持たない百姓である。だから天下にこれぐらい貧乏な農村はなくて、農民の住居は荒壁のままの屋根に石をのせたもの、しかも小さくて、穴だらけで、よその農村の馬小屋よりもひどかったものである。ほとんど全農家がそんなものだった。ところが戦争中から一変した。戦後には農地解放となり、全農家が自作農になるに及んでさらに大変化が起った。もはや昔日のような(昔日といってもたった十年前の昔日だ)荒壁のままの馬小屋のような農家は完全に一軒も見出すことができない。みんな然るべき瓦屋根の壁も本式の農家を持つようになり、電気冷蔵庫やスクーター持ちの農家はザラだということだ。
終戦後、昭和二十三年ごろから雪国の冬の天候が一変した。それまでは十月なかばからシグレやミゾレが降りはじめて太陽を見ることができなくなり、やがてそのまま丈余の大雪になるのであったが、今では十一月十二月になっても太陽が照りつづき、一月十五日ごろからはじめて昔の冬模様になるようになったと