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あんごしんにほんふどき
安吾新日本風土記
03 第二回 富山の薬と越後の毒消し≪富山県・新潟県の巻≫
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,916 字 · 46 页
というのがオチである。オチがよくできている。そちゃア女房お梅じゃないか、という気取った文句に、わたしゃ隣りのお竹だがね、という長屋言葉の対照と、お梅お竹の対照がいかにも巧みで、またオチが言葉の駄洒落でなく自然なのがよい。私はこのオチが好きであるから、したがってこの落語も大好きであり、魂かえす反魂丹、というものを忘れられずに記憶していたのである。中学生のころから忘れない落語であったが、この反魂丹というものがむかし実在し流行した富山の薬の実名だということは富山売薬史を読むまで知らなかった。してみると、この落語の作られたのは案外近年で、富山の反魂丹というものがすたれて売れなくなり、万金丹なぞだけがハバをきかすようになったころの作なのだろう。
富山の名薬反魂丹が世上に知られたのは富山城二代目前田正甫という殿様のときで、延宝年間のことだという。ざっと二百八十年ほどの歴史である。この殿様が江戸城へ出仕中、よその殿様が急病になって殿中で死にそうになった。そのとき富山の殿様がかねて懐中していた富山の名薬反魂丹をとりだして服用させたところたちまちよくなったので、諸大名からもとめられて諸国へ売りだすようになったものだそうだ。