轻松读懂日语经典作品
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さむはし
寒橋
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社、1950(昭和25)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,416 字 · 36 页
こんなふうに云って、なるべくお孝の手を避けようとした。
「へんねえ、なんだかへんだわ、まさかと思うけれど……どうしたのかしら」
「へんなことはないさ、おまえは私のこともしなくちゃあならないし、おたみならかかりっきりになれるからさ、……動けない病人には看病の手の替ることがいちばんいやなものらしいよ」
「それはそうかもしれないけれど、でも……」
お孝は良人とそんなことを話しながら、ひとつ頭にひっかかるものがあった。それは去年おたみに縁談があって、又とないくらい良縁だったのをおたみが断わった。……おたみは南千住に家があり、十五の年から奉公に来ている。お孝より一つ下で、気はしもきくし縹緻も悪くない、いわゆるおかめ型のぽっちゃりした、躯つきも小柄な愛嬌のある娘だった。……それまでにも幾たびか縁談があったが、いつもまだ年が若いからと首を振っていた。
――あたし一生お孝さんのそばにいたいんです、お嫁にゆくのなんかいやなこってすわ。
こう云い張っていた。しかし去年のときはもう二十にもなるし、断わる理由がどうにもわからなかったのである。お孝は冗談のように、
――あんたが好きだからよ。