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どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:どんぐり、科学者と芸術家、旅日記から、竜舌蘭、花物語、芝刈り、球根、簔虫と蜘蛛、ねずみと猫、物理学と感覚、先生への通信、病院の夜明けの物音、病室の花、丸善と三越、自画像、春寒、春六題、田園雑感、写生紀行、笑い、案内者、断水の日。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 203,161 字 · 412 页
畳の上におろしてやると、もうすぐそこにある紙切れなどにじゃれるのであった。その挙動はいかにも軽快でそして優雅に見えた。人間の子供などはとても、自分のからだをこれだけ典雅に取り扱われようと思われない。英国あたりの貴族はどうだか知らないが。
それでいて一挙一動がいかにも子供子供しているのである。人間の子供の子供らしさと、どことは明らかに名状し難いところに著しい類似がある。
のら猫の子に比べてなんという著しい対照だろう。彼は生まれ落ちると同時に人類を敵として見なければならない運命を授けられるのに、これははじめから人間の好意に絶対の信頼をおいている。見ず知らずの家にもらわれて来て、そしてもうそこをわが家として少しも疑わず恐れてもいない。どんなにひどく扱われても、それはすべてよい意味にしか受け取られないように見えるのである。
それはそうと、私はうちで猫を飼うという事に承認を与えた覚えはなかったようである。子猫をもらうという事について相談はしばしば受けたようであるが積極的に同意はまだしなかったはずであった。しかし今眼前にこの美しいそして子供子供した小動物を置いて見ているうちにそんな問題は自然に消えてしまった。