轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:どんぐり、科学者と芸術家、旅日記から、竜舌蘭、花物語、芝刈り、球根、簔虫と蜘蛛、ねずみと猫、物理学と感覚、先生への通信、病院の夜明けの物音、病室の花、丸善と三越、自画像、春寒、春六題、田園雑感、写生紀行、笑い、案内者、断水の日。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 203,161 字 · 412 页
日本から輸入されたらしい桃色のちりめん紙で鉢を包んでもらって、すぐその近所の先生の宅へ持って行った。その時に先生がこれはアルペン菫という花だと教えてくれた。そのせいだか自分にはサイクラメンという名前よりこの名のほうがなんとなくふさわしいような感じがする。あの女先生はその後どうしたのか。日本の留学生ばかりを弟子にして生活していたのが、大戦の爆発と共に留学生は皆引き上げるし、同時に日本人に対する市民の反感が高まった時に、なんらかのいやな経験をしたのではあるまいか、その後の生計をどうして立てて行ったろうか。これは何かのおりには時々思い出す事であった。先生は結婚後まもなく夫のドクトルに死なれ、退役軍人の父親と、夫の忘れがたみで、当時十四ぐらいであった娘のヒルデガルトと二人でさびしく暮らしていた。よくはわからぬが父親とはあまり仲がよくないらしかった。ある日われわれお弟子仲間二三人でこのヒルデガルトを連れて、ルイゼン座のおとぎ芝居を見に行った事がある。芝居は「雪姫」であった。観客の大部分は無論子供であったので、われわれ異国の大供連はなんだか少しきまりが悪いようであった。