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どんぐり

寺田寅彦随筆集 第一巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:どんぐり、科学者と芸術家、旅日記から、竜舌蘭、花物語、芝刈り、球根、簔虫と蜘蛛、ねずみと猫、物理学と感覚、先生への通信、病院の夜明けの物音、病室の花、丸善と三越、自画像、春寒、春六題、田園雑感、写生紀行、笑い、案内者、断水の日。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 203,161 字 · 412 页

青空文庫

この主要の組み合わせを分析するという事はかなりおもしろいしかしむつかしい問題だろうと思ったりした。渾天に散布された星の位置を覚えるのに、星の間を適当に直線で連ねていろいろの星座をこしらえる。それを一度覚えてしまえばいつ見てもそれだけの星がまとまって見えるし、これとだいたいに似た点の排列を見ればそれが実際にはかなりいびつになっていてもすぐにそれと認められる。われわれの顔に対する記憶もこれと似たものではあるまいか。星座の連結法はむしろ任意的だが顔の場合にはそれが必然的ですべての人間に共通であるとすればこれも一つの不思議な問題になる。

いろいろの「学」と名のつく学問、ことに精神的方面に関したもので、事物の真を探究するとは言うものの、よく考えてみると物の本来の面目はやはりわからないで、つまりは一種の人相書きか鳥羽絵をかいている場合も多いように思われるが、そのような不完全な「像」が非常に人間に役に立って今日の文明を築き上げたと思うと妙な気持ちがする。ただ甲乙二人の描いた人相書きがちがう場合にどっちも自分のかいたほうが「正しい」と言って、主張するのはいいとしてもおしまいにはにがにがしいけんかになるのはどんなものだろう。