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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

の話をして聞かせた。

思うにこの老人は一千一夜物語の著者のごとき創作的天才であったらしい。

そうして伝説の化け物新作の化け物どもを随意に眼前におどらせた。

われわれの臆病なる小さな心臓は老人の意のままに高く低く鼓動した。

夜ふけて帰るおのおのの家路には木の陰、川の岸、路地の奥の至るところにさまざまな化け物の幻影が待ち伏せて動いていた。

化け物は実際に当時のわれわれの世界にのびのびと生活していたのである。

中学時代になってもまだわれわれと化け物との交渉は続いていた。

友人で禿のNというのが化け物の創作家として衆にひいでていた。

彼は近所のあらゆる曲がり角や芝地や、橋のたもとや、大樹のこずえやに一つずつきわめて格好な妖怪を創造して配置した。

たとえば「三角芝の足舐り」とか「T橋のたもとの腕真砂」などという類である。

前者は川沿いのある芝地を空風の吹く夜中に通っていると、何者かが来て不意にべろりと足をなめる、すると急に発熱して三日のうちに死ぬかもしれないという。

後者は、城山のふもとの橋のたもとに人の腕が真砂のように一面に散布していて、通行人の裾を引き止め足をつかんで歩かせない、これに会うとたいていはその場で死ぬというのである。