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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页
もっともこう言ったからとて私は、定石的数学応用の理論や既成的の方法器械によるルーティン的の実験測定の仕事の価値を少しでもけなそうとするものではない。そういうのが無数に寄り集まってこそ、初めて現在のごとき科学の壮麗な殿堂が築き上げられたということは毫も疑う余地のないことである。
しかしいかに建築材料だけが立派に堆積されてあってもそれだけでは殿堂はできない。殿堂の建設には設計者のファンタジーが必要である。
科学の殿堂と言っても、その建設はもちろん家屋の建築とはわけがちがう。家屋の建築は設計者の気随になる。必要な建築学上の規則に牴触しない限りはあらゆる好きな格好のものを設計してもよいはずである。しかるに科学のシステムの設計はそう勝手にできるものではない。相手がすでに与えられた自然界である。たとえば空中を落下する石塊をわれらの意志の力で止めるわけには行かない。それで、しいて科学の系統の建設を建築にたとえようとすれば、それは数限りもない種々な所定条件のどれにもうまく適合するような家を造り上げるという事である。そういう建築、そういう系統が究極的にはたしてできうるかどうか。