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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

形而上学的の骨格に自然科学の肉を着けたものという批評を免れることはむつかしい。しかしそういう目的論的形而上学的のにおいをきれいに脱却して、ほとんど現在の意味における物理的科学の根本方針を定めたものはおそらくエピクロス派の人々でなければならない。彼らは少なくも現在の科学の筋道あるいは骨格をほとんど決定的に定めてしまったとも言われる。後代の学者はこれに肉を着け皮を着せる事に努力して来たようにも見られる。

この大設計は決して数学や器械の力でできるものではなくて、ただ哲人の直観の力によってできうるものである。古代の哲学者が元子の考えを導き出したのは畢竟ただ元子の存在を「かぎつけた」に過ぎない。そして彼らが目を閉じてかぎつけた事がらがいよいよ説明されるまでには実に二千年の歳月を要したのである。

真理をかぎつける事の天才はファラデーであった。しかし彼の直観の能力に富んでいたという事は少しも彼の科学者としての面目を傷つけるものではなかった。彼がもし真理に対する嗅覚を恥としたのであったら、十九世紀の物理学の進歩はたぶん少なからず渋滞をきたしたに相違ない。

ファラデーはしかし彼の直観を周到厳重な実験の吟味にかける事を忘れなかった。