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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

これがはなはだ注目すべき考えである。

彼は人間や動物に自由意志なるものの存在を無条件に容認する。さて彼の元子論に従ってすべての元子が自然方則によって直線落下をつづけるか、あるいは少なくもなんらかの確定的の方則によって支配されているならば、すべての世界の現象は全然予定的に進行するのみであって、その間になんら「自由」なる意志の現われうべき余地はないのである。しかし一方で意志の存在を許すとすれば、これはどこからはいり込んで来るか。徹底的物質論者である彼はそういうものを物質以外の世界から借用して来るという二元論的態度はどうしてもとれなかった。従って当然の必要から彼は意志の根元を彼の元子に付与したのである。

この考えは一見はなはだ非科学的に見えるであろう。当時でもキケロによって児戯視されたものである。しかし今の科学のねらいどころをどこまでも徹底させて生物界の現象にまでも物理学の領土を拡張しようとする場合には、だれでも当然に逢着すべき一つの観念である。私はかつて雑誌「思想」の昭和二年九月号に出した「備忘録」の中で、生命の起元に関する未熟な私見を述べた際に、生命の胚子は結局原子そのものに付与するのが合理的であるという考えを述べておいた。