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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

あの時に私はどんな気持ちがしたかを思いかえしてみた。あまりはっきりと思い出せないが、少なくも私はあの時そんなにひどく迷惑を感じたような記憶がない。もちろん毎朝見ているものを見ないという一種の手持ちぶさたな感じはあったに相違ないが、それと同時になんだか急に世の中がのんびりしたような気持ちがないでもなかったように思う。もっとも自分のような閑人はおそらく除外例かもしれないから、まず大多数の人はかなり迷惑を感じたものと見たほうが妥当には相違ない。

まずだれよりもいちばん迷惑を感じたのは新聞社自身であったろうが、ここではそれは問題に入れるわけには行かない。それと前述の投機者階級を除いたその以外に迷惑したのはだれだったろうと考えてみた。

続きものの小説が肝心のところで中絶したために不平であった人もあろうし、毎朝の仕事のようにしてよんでいた演芸風聞録が読めないのでなんだか顔でも洗いそこなったような気持ちのする閑人もあったろう。

こういう善良な罪のない不満に対しては同情しないわけにはいかない。しかし現在の実験を遂行する場合にこの物足りなさを補うべき代用物はいくらでも考え得られる。