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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

しかしまだこの意味での涼味の定量的研究をした学者はない。これは気象学者と生理学者の共同研究題目として興味あるものであろう。

倉庫や地下室の中の空気は温度がほとんど均等でこのような寒暑の粒の交錯がない、つまり空気が死んでいる。これに反して山中の空気は生きている。温度の不均等から複雑な熱の交換が行なわれている。われわれの皮膚の神経は時間的にも空間的にも複雑な刺激を受ける。その刺激のために生ずる特殊の感覚がいわゆる涼しさであろう。

暑中に灸をすえる感覚には涼しさに似たものがある。暑い盛りに熱い湯を背中へかける感じも同様である。これから考えられる一つの科学的の納涼法は、皮膚のうちの若干の選ばれた局部に適当な高温度と低温度とを同時に与えればわれわれはそれだけで涼味の最大なるものを感じうるのではないか。あるいは一局部に適当な週期で交互に熱さと寒さを与えるのがいいかもしれない。これは実験生理学者にとって好箇の研究題目となりそうなものである。

この仮説を敷衍すれば、熱い酒に冷たい豆腐のひややっこ、アイスクリームの直後のホットカフェーの賞美されるのもやはり一種の涼味の享楽だという事になる。