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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页
次第に死の迫って来る事を知らせる息づかいは人間の場合に非常によく似ていた。
遺骸は有り合わせのうちでいちばんきれいなチョコレートのあき箱を選んでそれに収め、庭の奥の楓の陰に埋めて形ばかりの墓石をのせた。
玉が死んだ時は、自分が病気で弱っていたせいかなんとなく感傷的な心持ちがした。だれにもかわいがられずに生きて来てだれにも惜しまれずに死んで行くのがかわいそうであった。しかし三毛の死はみんなが惜しんでいるという自覚が自分の心の負担をいくぶん軽くするように思われるのであった。三毛の死後数日たって後のある朝、研究所を出て深川へ向かう途中の電車で、ふいと三毛の事を考えた。そして自然にこんな童謡のようなものが口ずさまれた。「三毛のお墓に花が散る。こんこんこごめの花が散る。芝にはかげろう鳥の影。小鳥の夢でも見ているか。」それからあとで同じようなものをもう三つ作って、それに勝手な譜をつけていいかげんの伴奏をもつけてみた。こんな子供らしい甘い感傷を享楽しうるのは対象が猫であるからであろう。
一月ぐらいたって塩原へ行ったら、そこの宿屋の縁側へ出て来た猫が死んだ三毛にそっくりであるのに驚いた。