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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

そして裸体の主人を一心に見つめながら咽喉をゴロゴロ鳴らし、短いしっぽを立てて振動させるのであった。

この不思議な挙動の意味がどうしてもわからなかった。いかなる working hypothesis すらも思いつかれなかった。むしろ一種の神秘的といったような心持ちをさえ誘われた。遠い昔の猫の祖先が原始林の中に彷徨していた際に起こった原始人との交渉のあるシーンといったようなものを空想させた。丸裸のアダムに飼いならされた太古の野猫のある場合の挙動の遠い遠い反響が今目前に現われているのではないかという幻想の起こることもあった。

猫が人間の喜びに相当するらしい感情の表現として、前足で足踏みをするのは、食肉獣の祖先がいい獲物を見つけてそれを引きむしる事をやったのとある関係があるのではないかという荒唐な空想が起こる。また一方原始的の食人種が敵人をほふってその屍の前に勇躍するグロテスクな光景とのある関係も示唆される。空想の翼はさらに自分を駆って人間に共通な舞踊のインスティンクトの起原という事までもこの猫の足踏みによって与えられたヒントの光で解釈されそうな妄想に導くのであった。