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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页
おもしろい事には全然ちがった楽器の名前が同じような音から成り立っている例のかなり多いことである。たとえば笛のピパに対して弦楽器のピパすなわちビワがあり、弦楽器のタンブールに対して太鼓のタンブールがあるような類である。
以上はただまるで夢のような話で結局これだけからはなんの結論も出て来ないのではあるが、ともかくもこれだけの片かなの名前を並べて、のどかにながめていると一種不思議な気持ちになって来る。今まで自分たちとは全くなんのゆかりもないように思われていた遠い国々の民族が何かしら、全くのあかの他人でないような気がして来る。古い言葉の四海兄弟という文字の意味が急に新しい光を浴びて現われて来るのを感じる。
赤道へ行っても実際は地球儀にかいてあるような線はどこにも存在しない。地図の上ではちがった絵の具でくっきりと塗り分けられた二つの国の国境へ行って見ても、杭が一本立ってるくらいのものである。人間のこしらえた境界線は大概その程度のものである。人間の歴史のある時期に地球上のある地点に発生した文化の産物は時間の経過とともに人為的のあらゆる障壁を無視して四方に拡散するのは当然である。