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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

それから数日後にまた同じ屋上庭園から今度は少しばかり前とちがって建物の反対側へ飛んだ女があった。そうして庭園はついに閉鎖された。

また数日たって某大学の構内を通ったら壮麗な図書館の屋上に立ってただ一人玄関前の噴水池を見おろしている人がある。学生であるか巡視であるか遠いのでよくわからなかったが、少し変な気持ちがした。その後さらに数日たって後、同じ大学の中央にそびえた講堂の三階から飛んだ学生があったという夕刊記事を読んで、また変な気持ちがした。この終わりの自殺者と、前の図書館屋上の人とはおそらくなんの関係もないかもしれないが、しかし自分の頭の中では前後四人の「屋上の人」がちゃんと一つの鎖でつながれている。

臆病者の常として自分もしばしば高い所から飛びおりることを想像してみることがある。乾坤一擲という言葉はこんな場合に使ってはいけないだろうが、自分にはそういう言葉が適切に思い出される。飛びおりてしまえば自分にはその建物もその所有者も、国土も宇宙も何もかも一ぺんに永久に無くなるのだから、飛ぶ場所の適否の問題も何もないであろうが、他の人にはやっぱり世界は残存しその建物と事件の記憶は残るであろう。