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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页
しかしただ繰り返すだけではなくて、やはり何かしらあるものの積分だけは蓄積しているには相違ない。そうしてその積分されたものの掛け値なしの正味はと言えば結局科学の収穫だけではないかという気がする。思想や知恵などという流行物はどうもいつも一方だけへ進んでいるとは思われない。
七
妙な夢を見た。大河の岸に建った家の楼上にいる。どういうわけかはわからないが、この自分はもう数分の後には、別室に入って、自分からは希望しない自殺を決行しなければならないことになっている。その座敷というのがこっちからよく見える。大きな川に臨んだ見晴らしのいいきれいな部屋で、川向こうに見える山は郷里の記憶に親しいあの山である。だれとも知れず四五人の人々がそばにいておし黙っている。五分、三分、一分いよいよ時刻が迫ったのでずっと席を立ってその別室へはいった。その時までは死ぬことに対しては全く平気でいたのが、そこへすわった瞬間に急に死ぬのがいやになった。それはちょうど大河の堤を切り放したように、生命への欲望が一度に汎濫した。と思うと大きな恐ろしいうなり声のようなものが聞こえて目をさました。