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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

汽車が東京へはいって高架線にかかると美しい光の海が眼下に波立っている。七年前のすさまじい焼け野原も「百年後」の恐ろしい破壊の荒野も知らず顔に、昭和五年の今日の夜の都を享楽しているのであった。

五月にはいってから防火演習や防空演習などがにぎにぎしく行なわれる。結構な事であるが、火事よりも空軍よりも数百層倍恐ろしいはずの未来の全日本的地震、五六大都市を一なぎにするかもしれない大規模地震に対する防備の予行演習をやるようなうわさはさっぱり聞かない。愚かなるわれら杞人の後裔から見れば、ひそかに垣根の外に忍び寄る虎や獅子の大群を忘れて油虫やねずみを追い駆け回し、はたきやすりこ木を振り回して空騒ぎをやっているような気がするかもしれない。これが杞人の憂いである。

(昭和六年一月、中央公論)