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やねうらのはんにん

屋根裏の犯人

坂口 安吾

――『鼠の文づかい』より――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,887 字 · 14 页

青空文庫

トンビに隠れる紙ブスマ。猫に見つからぬお守り。イタチの道切りに用いる尖り杭。火消しの板ぎれ。鰹節ひくときの梃子の類いなぞと数々の世帯道具をな。二日路も道ノリのある豊崎まで口にくわえて運んだそうな。鼠というものは思わぬ遠歩きを致すものだな。まして隠居家と母家の間ぐらいは物の数ではござるまい。このような鼠のイタズラは世間によくあることです」

「口がしこいことを仰有っても、私ゃもう、だまされませんよ」

「私がだましたことがあるようで恐縮だなア。これよ、小僧さん。御当家には有るまいから、御近所で年代記をかりてきなさい。ヤ、ありがとう。エエと。人皇第三十七代孝徳天皇大化元年十二月大晦日。これだ。ごらんなさい。鼠の引越し。ここにチャンとでている」

「物の本なぞに何がでていたって絵ソラゴトですよ。実物を見なきゃア何が信用できるもんですか」

証拠の年代記も相手にしてくれないから、妙庵先生もサジを投げました。

「お忙しい最中に長々と結構な風呂をちょうだい致した。これで一段と長生き致すだろう。では、さよなら」

と立ち帰ろうとするのを主人の源兵衛が追ってきて、

「殺生ですよ、先生は。