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やねうらのはんにん
屋根裏の犯人
――『鼠の文づかい』より――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,887 字 · 14 页
あんなにウチの婆さんを怒らせちまッて、自分だけ一段と長生きして行っちまうなんて」
「とんでもないことを云う人だね。私が御隠居を怒らせたわけじゃアないでしょう」
「いいえ、そうですとも。仕掛け山伏だ、ドジョウだ、砂時計だなんぞと余計なことを云うからですよ。年代記なぞを取り寄せて婆さんの気をひいて、あそこまで逆上させてしまったんですから、チャンと始末をつけて下さらなくちゃア。私ども無学の者には年代記のあとの始末はつきませんよ」
「これは甚だこまったな」
「いえ、こまったのはこッちですよ」
「後の始末と申しても、実物を目で見なくちゃア何も信用いたしませんと仰有られちゃア、鼠の引越しを見せたくとも、鼠が引き受けてくれませんのでな。ハテ、待てよ。ウム。実物を見せられないこともないが、お金がかかるな。伊勢屋さんがお金のかかることをする筈はなし。乗りかかった舟だ。まア、仕方がない。では実物を連れてきて御隠居を納得させてあげるから、暫時まちなさい」
仕方がありませんから、妙庵先生はその足で鼠つかいの藤兵衛を訪ねました。そのころ江戸湯島に長崎水右衛門という名題の獣使いがおりまして、この人に雇われて鼠を使っていた藤兵衛がいま上方に住んでおります。