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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

木暮理太郎『山の憶い出 上』。同一底本的分册已合并为一书。收入:笛吹川の上流(東沢と西沢)、奥秩父の山旅日記、釜沢行、秩父の奥山、利根川水源地の山々、秋の鬼怒沼 、美ヶ原、木曽駒と甲斐駒、黒部川奥の山旅、黒部川を遡る 、針木峠の林道 、春の大方山、三国山と苗場山、八ヶ峰の断裂 。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 页

青空文庫

、第4水準2-8-36)嶢として峙てるに、見渡す限り偃松生ひ続きて、蒼髯白沙に映じ、雷鳥其間に棲息し、壑を隔てゝ左に前岳、右に宝剣岳の※※たるを仰ぐ、その半腹には十数条の渓流枝を伸せる緑樹の間に懸りて、さながら白竜の夭※たるが如く、谷間に群れ飛ぶ岩燕も、渺として枯葉の舞ふに異ならず、下は千仭の谷底幽かに、上は万丈の碧落遠く、蒼茫潤沢の気騰々として※(「風にょう+昜」、第3水準1-94-7)らむと欲し、青嵐ひとり動く、既にして山勢俄かに蹙まり、双崖面を掠めて向ふところを知らず、僅に石脈の凹凸せるものに足を托し、駕して之を上れば、危石梁をなし、懸崖深く陥り、足を容るゝところなく、万木森然として唯其梢を瞰る、両手に石を抱き、匍匐して渡り過ぐるに体ふるひ足わなゝき、蓮蹇として纔に之を踰ゆることを得たり、山路の険悪なる未だ曾て此の如きものを見ず、御岳の第三火口に下るところ、赭岩壁立して崩石人と共に下り、頗る危険なれども、彼と此とを較ぶる時は、霄壌も啻ならざるに似たり、今よりして之を想ふも尚ほ冷汗背に浹きを覚ゆ。

午後二時頃に小屋を立った。これから上は花崗岩の大塊が縦横に錯峙し、木は皆ねじけくねって如何にも高山らしい相を呈して来る。