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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

木暮理太郎『山の憶い出 上』。同一底本的分册已合并为一书。收入:笛吹川の上流(東沢と西沢)、奥秩父の山旅日記、釜沢行、秩父の奥山、利根川水源地の山々、秋の鬼怒沼 、美ヶ原、木曽駒と甲斐駒、黒部川奥の山旅、黒部川を遡る 、針木峠の林道 、春の大方山、三国山と苗場山、八ヶ峰の断裂 。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 页

青空文庫

然し必ずしも条件が全部揃う必要はない、例えば座敷に端坐して上半身を左右に動かしているだけで充分なこともある。時間は二、三十分間に過ぎないこともあれば、又二時間以上に亘ることもあった。是に就て更に冗長な筆を進めることは、読者諸君に迷惑を及ぼす虞があるから止めにしよう、唯この記事が事実であったことを知って戴けば足りるから。此時は仏本行経と所行讃経の美しい文をふと思い出したのが原因であったように記憶している。

登山ではこの自己陶酔に申分のない好条件がひとりでに備わることが多い。従って遭難の危険がある訳だ、で努めて避けるようにしているが、一人の場合はともすると虜にされることがある。でも路の曲る可き所は曲り、橋の渡る可きものは渡る、それだけは意識しているが、さて曲れば何処へ行くかに就ては、最早意識の外である。

快哉に就て思い出すのは、対校レースでボートの練習をしていた時、文章では誰もよく快哉を叫んだと書くが実際は如何であったか。吾々は今後壮快であった場合には、必ず文字通り「カイサイ」を三唱しようというので、夫を実行していたことだ。其習慣が此処でも実行されたらしい。