轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮理太郎『山の憶い出 上』。同一底本的分册已合并为一书。收入:笛吹川の上流(東沢と西沢)、奥秩父の山旅日記、釜沢行、秩父の奥山、利根川水源地の山々、秋の鬼怒沼 、美ヶ原、木曽駒と甲斐駒、黒部川奥の山旅、黒部川を遡る 、針木峠の林道 、春の大方山、三国山と苗場山、八ヶ峰の断裂 。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 页
て吾が立てる山稜の頂を超ゆるに至れば、列風また横さまに之を払ひ、雲塊半より頽れて谷中に弥漫し、風の稍静まると共に脚下に沛然たる雨声の恰も懸崖を直下する瀑布に似たるを聞く。既にして風雨少しく衰へ、頭上に鵬翼を張れるが如き断雲のちぎれちぎれに飛ぶを見たりしが、遥雷かすかに轟き、湿雲俄に開けて、南方里余のあたりに濃藍色をなせる怪雲の鬱然として天を蔽ふを望む。白峰山脈の最高峰北岳は最早雲中に包まれ、前岳またまさに隠れんとして、勁風の起れるなるべし、巓のあたり雲荐りに騒ぎて、景色只ならず。折しも一群の雨燕あり、相和鳴して高く中天に翔り、風に従って倏ち行く所を知らず。頃刻にして雲復大に湧き、寒冷の気面を搏って肌に粟を生じ、怪物の陸梁するかと覚しき一種のさゞめきは四方に満ちて、一刻は一刻よりも暗く、満目唯陰霾として、風雨またまさに来り襲はんとす、其光景もとよりわが拙き筆の能く及ぶところにあらず。森厳なる自然の威力に対して、眇たる人間誰かは懼然として懾れざるものあるべき。さはれ自然は竟に慈母たり、限りある人生を哀しみ、限りなき永遠を慕ふ心は、久しからずして之と相融合せんなり。