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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮理太郎『山の憶い出 上』。同一底本的分册已合并为一书。收入:笛吹川の上流(東沢と西沢)、奥秩父の山旅日記、釜沢行、秩父の奥山、利根川水源地の山々、秋の鬼怒沼 、美ヶ原、木曽駒と甲斐駒、黒部川奥の山旅、黒部川を遡る 、針木峠の林道 、春の大方山、三国山と苗場山、八ヶ峰の断裂 。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 页
人穴の附近は、椈、楢、檜などの大木があるが、其北は広袤数里に亘って、小灌木の外には殆ど目を遮る大木もなく、北には根原、西北には麓、西南には猪之頭、南には人穴と、遠く半円形に人家が点在している。甲州方面の青木ヶ原は、大小の熔岩がごろごろしているに拘わらず、主として栂や樅などの大森林が昼尚お暗く繁って、其中で道に迷うと容易に出られない。ここは殆ど岩を見ないで、しかも四方明け放しの草原であるのは、好い対照である。
明日は毛無山に登る予定なので、人穴から左に原を横切り、麓の部落をさして進んだ。岐路が多いので、三人思い思いの道を別れ別れに歩いたりした。間もなく朝霧の原にかかった頃から南の風が強く吹き出して、雲は低く山を掩い、今にも降り出しそうな暗憺たる光景を呈するに至ったが、雲雀は長閑に囀っていた。このあたりは全くの草原である。暫くして水なき河原を横切り、午後四時頃麓の部落に着いた。泊りのことが心配だったので、初は根原に行く筈であったが、山からは少し遠くなる、それで麓にきめた。しかし来て見れば案じた程のこともなく、教えられるままに竹川忠義という人の家を尋ねて一泊を頼むと、喜んで承諾してくれた。