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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮理太郎『山の憶い出 上』。同一底本的分册已合并为一书。收入:笛吹川の上流(東沢と西沢)、奥秩父の山旅日記、釜沢行、秩父の奥山、利根川水源地の山々、秋の鬼怒沼 、美ヶ原、木曽駒と甲斐駒、黒部川奥の山旅、黒部川を遡る 、針木峠の林道 、春の大方山、三国山と苗場山、八ヶ峰の断裂 。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 页
小高い処へ登って上流を見渡すと直ぐ其上にも同じ位の滝があるらしく、泡立つ水が白く木の間に光っているのが覗かれた。余程険悪な谷であるらしい。之を探検しようとするには、当時準備が少し手薄だったので、足を蹈み入れる気になれなかった。
左の谷を遡って少し行くと又流れが二分する。右は信州沢と呼ばれている。此沢に沿うて信州へ越えられるから岩魚釣や猟師等が其名で呼ぶようになったのであろう。左は無名の沢だと聞いた。自分等は便宜の為に沢の源である尾根の名を冠して、之を石塔沢と呼ぶことにした。此沢に就ては何等の知る所がない。
信州沢は一連の大花崗岩から成る傾斜の急な河床を谷水が浅く深く穿鑿して、滝となり瀬となり淵となって楽しげに落ちて来る姿が如何にも美しい。人は魚の如く其水の中を登って行くのであるが、清冷な水は岩面に些の汚泥をも留めていないので、何処を蹈んでも更に滑る憂がない。約一時間半も登ると右から一つの沢が来る。此附近には落葉松が多い。更に三十分も登ると今度は左から沢が落ち合っている。五月中旬であると此辺からそろそろ雪が見られる。又三十分も登ると古生層らしい岩崖が一丈二、三尺の瀑を懸けている。