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にじ
彩虹
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館 、1946(昭和21)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,898 字 · 28 页
と眼で知らせ、手早く裸になって出ていった。
宗之助は色の白い、しかし逞しく肥えたみごとな体だし、伊兵衛も痩せ形ではあるが、筋肉の発達した浅黒い膚で、どちらも若さの満ち溢れた「ちから盛り」という感じである。……伊兵衛は相手を射ぬくように見て、
「いい体だな」
と呟やき、大きく跳んで庭へ下りた。……中庭のひとところが芝生になっている、二人はそこへいってがっしと組み合った、さえは縁側の柱へ凭り、息を詰めながら見ていた。勝負はながくはかからなかった、肉体と肉体の相い撲つ快よい音が二三度し、両者の位置がぐるりと変ったとき、宗之助は巧みに足を払って、伊兵衛を大きく投げ倒した。しかし投げ倒した刹那、なにを思ったか、いきなり相手の上に馬乗りになり、
「怪しいぞ伊兵衛」
と歯をくいしめたような声で云った。
「わざと負けたな、本気ではあるまい」
「ばかなことを云うな」
「いや不審だ、いまの足は軽すぎた、きさまおれを盲目にする気か」
「よせ脇田、人が見ているぞ」
「云え、本気か嘘か」
宗之助は両手を伊兵衛の喉へかけた。
「……刀にかけて返答しろ」
「まいった、おれの負だよ」
宗之助は、