轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かれがころしたか

彼が殺したか

浜尾 四郎

「新青年」1929(昭和4)年1~2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,336 字 · 83 页

青空文庫

ふと、自分の耳をある声が打った。それはきわめてかすかな音であったが、敏感になって居た自分の耳は、明かにそれが人の声である事をしらせてくれた。

自分は半身をおこして全身を耳にした。声は再びきこえて来た。その時、又極めてかすかながら人のうなるような声がきこえた。まさしくそれは二階から!

俺は身体がふるえるように感じた。

ふと、幼い時まだ故郷にいた時分、ある暗い夜、村の叔父の家に泊った時、そこの叔父夫婦の室からきこえた声を思い出した。俺は浅ましさにふるえながら夢中で夜具を被って中にもぐり込んだ。

暫くして又頭を出して見たが、今度は何かいう声がきこえた。自分は今度は完全に床の上に起き上って、上を注意していたが此の時、稍々異様な感じにおそわれはじめた。

明かにあれは、幼い頃きいた人の声とはちがう。いや、だんだんきいているうちに、全くその調子が異っている事に気がついた。

たしかに清三が何か罵っている。極めて小さい声のようであるが、怒ったような声である。

自分は、息を殺して耳をたてた。その中、ふと、「大寺」という俺の名が聞えた。すると暫くたって、道子のらしいうめくような声がきこえる。