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せいにかんするアイヌのしゅうぞく
性に関するアイヌの習俗
河野 広道
「北方研究 第一輯」1952(昭和27)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,926 字 · 12 页
と云うと、少女は言下に起って、大鍋いっぱいに水を入れて、炉の上に掛けた。次いで老婆が起上り、火尻座の方から大きなコダシを取出して、何かしら鍋の中へ入れた。老翁は更に語を継いで『娘よ、外へ出て、村の上の端れ下の端れに向い、(今夜は少しも眠れないから kikinni(エゾノウワミズザクラ)だの atane(センダイ蕪)だのを煮て、その煮汁で、村人たちよ、お前達の毛虱のタカった腐った陰部をお互いに洗い会い、その水をそこらに撒きなさい。又、兎やイカリポポチェツポ(針河豚)を煮て、酒宴を開きなさい!)と叫べ』と云うと、少女は戸外へ飛出して、村の上の端れ下の端れに向い、言われた通りに叫んだ。すると、村じゅうざわめいて、眠っていた人々が右往左往した。やがて、何とも言い様の無い悪臭がして、呼吸も詰りわが腹の底を引繰り返して掻き雑ぜたように、嘔吐を催して来た。大鍋は溢れんばかりに沸き立ち、家いっぱいに悪臭がぱっぱっと立昇った。そこまで見て我はつと窓の下から身をひるがえし、飛ぶようにして海辺へ駆けつけて見れば、こわ如何に、部下の大部分は、人間たちの悪臭に斃れていた。