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せいにかんするアイヌのしゅうぞく

性に関するアイヌの習俗

河野 広道

「北方研究 第一輯」1952(昭和27)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,926 字 · 12 页

青空文庫

三 性器に強大な魔力があると信ぜられていること

それ故にこそ和人に小便をかけられながら、おとなしく償を出したのである。

勝知文の東夷周覧(享和元年)にはメノコの女陰を見た和人が償をとられそうになってやっと助かった話を次のように記述している。

「或時茂左衛門会所に独り閑然たる折からメノコ一人来り居りしが、いつしか寝臥したりしかば、茂左衛門叱ていう、汝我前をはばからず、まさしく陰門を出せしは不敬にあらずやという。メノコこれを聞き、喪胆して起きあがり、問ていうよう。然らば見られたるや、という。茂左衛門答て如何にも見たりという。さらば償を賜るべしという(此国の法とて男子女子の陰門を見れば、償を出すことなりという)。茂左衛門聞て、汝が申す条もっとものことなれば、償を出すべし。さりながら、我は公命によりて郷里の妻子を捨て肝胆をくだし此処に来るものは、畢竟我等救命の故あり。然るに汝等我に陰門を見せ、すこしく淫心の気を生ぜしめしはこれ汝が罪なり。この償は汝が方より出すべしといえば、メノコ笑って去りしという。」

三 性器に強大な魔力があると信ぜられていること

アイヌは性器が特種の神秘的な力をもっていると信じていた。