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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

5

「ぜひ、大利根博士に会ってくれ!」

一彦がもってかえった帆村探偵の言伝は、塩田大尉の胸をたいへんいためました。

そういう急ぎの用事なら、なぜ怪塔の中から無線電信で打って来なかったのであろうかと、大尉はふしぎに思っているのです。怪塔の外へ出したけれど、はたしていつ大尉に会えるやらわからない一彦に、この重大なことがらを、言葉で伝えさせようとした帆村探偵の心には、なにかわけがありそうです。

塩田大尉は考えた末、無線電信などでこのことを空中に発すると、それが大利根博士に知れて具合がわるいのであろうと思いました。つまり大利根博士に会えと帆村がすすめたことは、あくまで博士に知れないようにしなければならぬということだと思いました。なぜ知れて悪いのか。それはいずれ後になってわかってくる事でしょう。

塩田大尉は、かたい決心をしました。

一彦にも、帆村探偵が大利根博士を訪ねよ、といったことを秘密にして、他人に喋らないよう約束させました。

そのかわり、大利根博士に会いにいくときには、かならず一彦をつれていくと、大尉の方でもお約束をいたしました。

こうなると、大利根博士に会うということは、たいへん重大なことになりました。