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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

小酒井不木『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三つの痣、暴風雨の夜、秘密の相似、卑怯な毒殺、鼻に基く殺人、初往診、呪われの家、猫と村正、肉腫、謎の咬傷、血の盃、人工心臓、新案探偵法、死の接吻、好色破邪顕正、血友病、狂女と犬、犬神、遺伝、按摩、ある自殺者の手記。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,140 字 · 396 页

青空文庫

自分で言うのは当にならぬかも知れませんが、私のは常人よりも少し強いくらいのものでした。而もこの痣を拵らえてからは、不思議にも私のサヂズムは薄らいで行きました。

それはとに角、私は、小さい時分から、他の子供と比較して幾分か残忍性が強かったように思います。他人が肉体的精神的に苦しむ姿を見て、気の毒に思うよりも寧ろ愉快に思ったことは確かです。然し、それかといって、自分で直接他人に苦痛を与えることはあまり好まなかったのです。

家代々農業に従事して居りましたが、中学校を卒業したとき、私は、何ということなく、医者になって見たかったので、その頃の第三部の試験を受けて合格しました。それから高等学校を無事に卒業し、大学へはいるに至って、はじめて医学を修めることに多大の満足を感じました。即ち、解剖学実習室で、死体を解剖するようになってから、いうにいえぬ愉快を覚え始めたのです。鋭いメスの先で一本一本神経を掘り出して行く時の触感、内臓に刀を入れるときの手ごたえに私は酔うほどの悦楽を催おし、後には解剖学実習室が私にとって、楽園となりました。多くの学生は解剖実習を嫌います。