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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
小酒井不木『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三つの痣、暴風雨の夜、秘密の相似、卑怯な毒殺、鼻に基く殺人、初往診、呪われの家、猫と村正、肉腫、謎の咬傷、血の盃、人工心臓、新案探偵法、死の接吻、好色破邪顕正、血友病、狂女と犬、犬神、遺伝、按摩、ある自殺者の手記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,140 字 · 396 页
それは死体を扱うことに不快を覚えるというよりも寧ろ面倒臭いためでありますけれど、私は出来ることなら、一年中ぶっ通しでもよいから、実習室にはいって居たいと思いました。
彼此するうちに、私は死体というものに一種の強い愛着の念を覚えるに至りました。老若男女を問わず、死体でさえあれば、それに接するのが楽しくなったのです。妙な話ですが、例えば美しい女を見るとします。すると私は、その女の生きた肉体に触れることよりも、その女を死体として、その冷たい皮膚に触れたならば、どんなに楽しいかと思いました。更に、その死体の冷たい皮膚にメスを当てたならば、なお一層うれしいだろうと想像したものです。といって、別にその女を殺そうというような気には決してならなかったのです。それのみか、人を殺した人間に対しては、はかり知れぬ憎悪の念を抱きました。そうして、さような人間をば、あく迄苦しめてやりたいという衝動に駆られました。これが即ち、私をして法医学を志さしめるに至った重大な動機なのです。即ち、法医学では、死体を取り扱うことが出来ると同時に、鑑定によって、犯人の逮捕を助けることが出来、従って犯人を精神的に苦しめることが出来るからであります。