轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じょうき

情鬼

大倉 燁子

「踊る影絵」柳香書院、1935(昭和10)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,393 字 · 35 页

青空文庫

私の夫宮本が任地で病死した後、当然小田切さんは私と結婚するものと信じきって居りました。処が利口な彼は世間の噂にまでのぼった二人の関係を、結婚によって裏書するような真似はいたしませんでした。そればかりではなく、二人の噂を封じるためには、どうしても表面をちゃんとつくっておく必要があると申します。そして間もなく伯爵令嬢との結婚が発表されたのです。欺されたとは思いませんでしたが、その時始めて小田切さんの姿、いや、男の人というものの真の姿を見たような気がいたしました。

どんなことがあっても、二人は決して離れまいと誓い合い、かたく約束したほどではありましたが、さて相手の男が、他の女と正式に結婚してしまったとなると、たとえ男の心が少しも変っていないと分っていても、どうも面白くありません。

私はいろいろに自分で自分の心を慰めて居ました。世間から認められなくても、小田切さんのほんとの妻は私だ。結婚という形式を踏まなくても、彼の心を完全に掴んでいれば満足じゃないかとか。新夫人は表面をつくるための道具でしかないんだと――。

しかし真実の心は、そんな慰めなんかにごまかされていませんでした。