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おしみなくあいはうばう

惜みなく愛は奪う

有島 武郎

「有島武郎著作集 第一輯」叢文閣、1920(大正9)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,397 字 · 159 页

青空文庫

宗教が国家の機械、即ち美しい言葉でいえば政務の要具たることから自分を救い出さねばならぬことは勿論であるが、現存の国家がその拠りどころとする智的生活、その智的生活から当然抽出される二元的見断から自分自身を救い出して、愛の世界にまで高まらなかったら、それは永久にその権威を回復することが出来ないだろう。

私は神を知らない。神を知らないものが神と人との関係などに対して意見を申し出るのは出過ぎたことだといわれるかも知れない。然し宗教が社会生活の一様式として考え得られる時、その様式に対して私が思うところを述べるのは許されることだと思う。私の態度を憎むものは、私の意見を無視すればそれで足りる。けれども私は私自身を無視しはしない。

教育というものに就いても、私はここでいうべき多くを持っている。然し聡明な読者は、私が社会生活の部門について述べて来たところから、私が教育に対して何をいおうとするかを十分に見抜いていられると思う。私は徒らな重複を避けなければならない。然しここにも数言を費すことを許されたい。

子供は子供自身の為めに教育されなければならない。この一事が見過されていたなら教育の本義はその瞬間に滅びるのみならず、それは却って有害になる。