轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おしみなくあいはうばう
惜みなく愛は奪う
有島 武郎
「有島武郎著作集 第一輯」叢文閣、1920(大正9)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,397 字 · 159 页
善くとも悪くともその外にはあり得ないのだ。私に取っては、私の現在はいつでも最大無限の価値を持っている。私にはそれに代うべき他の何物もない。私の存在の確実な承認は各※(二の字点、1-2-22)の現在に於てのみ与えられる。
だから私に取っては現在を唯一の宝玉として尊重し、それを最上に生き行く外に残された道はない。私はそこに背水の陣を布いてしまったのだ。
といって、私は如何にして過去の凡てを蔑視し、未来の凡てを無視することが出来よう。私の現在は私の魂にまつわりついた過去の凡てではないか。そこには私の親もいる。私の祖先もいる。その人達の仕事の全量がある。その人々や仕事を取り囲んでいた大きな世界もある。或る時にはその上を日も照し雨も潤した。或る時は天界を果から果まで遊行する彗星が、その稀れなる光を投げた。或る時は地球の地軸が角度を変えた。それらの有らゆる力はその力の凡てを集めて私の中に積み重っているのではないか。私はどうしてそれを蔑視することが出来よう。私は仮りにその力を忘れていようとも、その力は瞬転の間も私を忘れることはない。ただ私はそれらのものを私の現在から遊離して考えるのを全く無益徒労のことと思うだけだ。