轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おろかないちにち

愚かな一日

豊島 与志雄

「太陽」1920(大正9)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,045 字 · 29 页

青空文庫

」

「なに、それが本当ですよ。誰だって書き捨てたものを人に見られるのは嫌なものです。」

彼はふと会話の跡をつけるのを忘れて、一人考えに沈んだ。いつか書き捨てた自分の文句が、俄に頭に蘇ってきたからである。

――病者を憐れむは健康者の自由である。健康者に反抗するは病者の自由である。然し……健康者が病者に何かを与え、病者が健康者から何かを受くる時、その感激は前の自由に対して如何なる意味を齎すか?

それは、この前の土曜日に瀬川が訪ねて来た後の走り書きであった。その日彼は珍らしく気分がよかった。気管支加答児の方は殆んどよくなったと医者から告げられていた。朝食の膳に向うと、粥のわきに少し赤の御飯が添えられていた。妻は心持ち眼を伏せて笑いながら、「今日はあなたの誕生日よ、」と云った。考えてみるとなるほどそうであった。彼は急に嬉しくなった。明るい未来が待っているような気がした。ただ添えただけと妻は云うのも構わずに、赤の御飯を少し食べた。床の上に起き上って、長い間庭の方を眺めた。「今日は妻と二人で、他人を交えずに、快い一日を送ろう。」と彼は考えた。すると午過ぎに瀬川がやって来た。