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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
北原白秋「婦人公論 第四十三巻第一号」1958(昭和33)年1月号<br>高村光太郎「婦人公論 第四十三巻第二号」1958(昭和33)年2月号<br>萩原朔太郎「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号<br>釈迢空「婦人公論 第四十三巻第四号」1958(昭和33)年4月号<br>堀辰雄「婦人公論 第四十三巻第七号」1958(昭和33)年7月号<br>立原道造「婦人公論 第四十三巻第八号」1958(昭和33)年8月号<br>津村信夫「婦人公論 第四十三巻第九号」1958(昭和33)年9月号<br>山村暮鳥「婦人公論 第四十三巻第十一号」1958(昭和33)年10月号<br>百田宗治「婦人公論 第四十三巻第十二号」1958(昭和33)年11月号<br>千家元麿「婦人公論 第四十三巻第十三号」1958(昭和33)年12月号<br>島崎藤村「婦人公論 第四十三巻第六号」1958(昭和33)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 页
一度は江戸で肩で風を切ったことを思えば、行き倒れで雪の山々を屏風で囲い、こっそりと死んでゆくのも美しいではないか。明日のわからない売文渡世が今日百万円ぶら下げていても、何にもならない、それより美女と語らって死出の思いを賑やかにした方がよい。
百田は小宴後、二年くらいから、ごほんごほんと咳をしながら、千葉県安房郡岩井町の海岸に夫人の看護をうけ、国語教師達と協力して、小学生の詩や、綴り方作文の指導の文章を書いていた。そして家庭を愉しみ自然を愛し、家を建て庭をつくり、自分がいまある生活がどのあたりの人生だかの見当をつけることに、怯えていた。大概の詩人がみんなさびしく自分を守るだけにとどまるように、百田もやはり其処にとどまっていた。決して私のだらだら文章がはったりをやるような、軒の低い田舎の町で行き倒れになる私の理想なぞ、私自身にもない如く我が百田宗治にも見られなかった。よい夫人にまもられたままであった。
洗面器
僕の乳色の洗面器にはいつもかぐろい海藻が涵つてゐる。
真夜中、僕が呼吸するのは世にも新鮮なオゾーンだ。
揚子江の 夕雲
むらがり だち
擾れて 騒ぐ この 大きい 夕雲は、