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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
北原白秋「婦人公論 第四十三巻第一号」1958(昭和33)年1月号<br>高村光太郎「婦人公論 第四十三巻第二号」1958(昭和33)年2月号<br>萩原朔太郎「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号<br>釈迢空「婦人公論 第四十三巻第四号」1958(昭和33)年4月号<br>堀辰雄「婦人公論 第四十三巻第七号」1958(昭和33)年7月号<br>立原道造「婦人公論 第四十三巻第八号」1958(昭和33)年8月号<br>津村信夫「婦人公論 第四十三巻第九号」1958(昭和33)年9月号<br>山村暮鳥「婦人公論 第四十三巻第十一号」1958(昭和33)年10月号<br>百田宗治「婦人公論 第四十三巻第十二号」1958(昭和33)年11月号<br>千家元麿「婦人公論 第四十三巻第十三号」1958(昭和33)年12月号<br>島崎藤村「婦人公論 第四十三巻第六号」1958(昭和33)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 页
『屋上庭園』は一冊一円の雑誌であっていまなら千円くらいに換算され、田舎のさびしい郵便局でカワセを組んで送金した。たったこれだけのことでも、月給八円もらっている男にとっては大したふんぱつであり、そのために詩というものに莫大なつながりが感じられた。『邪宗門』を持っている者は北陸道では私一人であろうし、雁皮紙のように美しい四六倍判六号組みという高邁ハイカラな詩の雑誌『屋上庭園』を購読している者は私一人だったからである。
この『屋上庭園』は木下杢太郎、吉井勇、長田秀雄が同人であったが、第弐号の「おかる勘平」という白秋の詩によって発売禁止になり、第弐号でつぶれた。この年の一月に『スバル』という森鴎外を背景にもった立派で権威のある雑誌が創刊された。白秋の詩が毎号掲載されていて、私はあくことなく愛読した。当時白秋は私より四つ上の若さで、田舎で遠く眺めているとすでに大家であって、私なぞ寄りつくことも出来ない隔たりがあった。
処女詩集『邪宗門』は明治四十二年代にあって、自費出版の費用は百円ほどかかったと聞いていたが、その年の暮までに福岡県柳川町沖端の酒造業、北原家は酒蔵の火災によって破産していた。