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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
北原白秋「婦人公論 第四十三巻第一号」1958(昭和33)年1月号<br>高村光太郎「婦人公論 第四十三巻第二号」1958(昭和33)年2月号<br>萩原朔太郎「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号<br>釈迢空「婦人公論 第四十三巻第四号」1958(昭和33)年4月号<br>堀辰雄「婦人公論 第四十三巻第七号」1958(昭和33)年7月号<br>立原道造「婦人公論 第四十三巻第八号」1958(昭和33)年8月号<br>津村信夫「婦人公論 第四十三巻第九号」1958(昭和33)年9月号<br>山村暮鳥「婦人公論 第四十三巻第十一号」1958(昭和33)年10月号<br>百田宗治「婦人公論 第四十三巻第十二号」1958(昭和33)年11月号<br>千家元麿「婦人公論 第四十三巻第十三号」1958(昭和33)年12月号<br>島崎藤村「婦人公論 第四十三巻第六号」1958(昭和33)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 页
引っ殴たかれそうだから眼鏡が壊れるような気がしたからである。勿論、廊下に出て貰って取っ組みをしてもよい腹立たしさだった。この席に、堀辰雄もいた。気短かな三好に同じくらい短気な私共は、半分立ち上り気味の凄まじさだった。ところが堀辰雄は顔色を蒼く沈ませて、思いのほかのおちつきで、三好に、先輩には先輩の礼儀もあるんだから、も少し控え目に相談するんだと堀は仲裁役をうけ持って言った。私達はこんな事に口出しを決してしないはずの堀辰雄の顔をちょっと見て、その顔色のアオサがこちらにサッと影響して黙りこんだ。
往きがかりで口論になった三好と私は、はからずも堀の仲裁が役立ってその晩はおさまったのである。私も三好も本屋さんから収賄をとっていたわけではない、ただ、本屋さんを贔屓にしていた関係からである。ここに作家と本屋さんの関係をちょっと書いてみるのも面白いから書いてみるが、作家はどんな場合でも、たった一枚書いても、その代償はいつも原稿料という正規の手続きのもとで支払われていた。各作家の所定の原稿料というものは、各社を通じてどこからか判っていて、皆さんの原稿料は言い合わしたようにキチンとした金高に計算されていて、宣伝文であろうが、すいせん文であろうが、一枚計算に税金を引いて、支払われていた。