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あるむらのいつつのはなし
或る部落の五つの話
佐左木 俊郎
「文学時代」1929(昭和4)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,917 字 · 12 页
外傷よりも内臓の病気の上には、わけても奇蹟を見せるのだった。
四 最大の效験
猟犬ジョンが死んでみると、平三は、禿頭の清次郎よりも、竹駒稲荷の方が憎らしくなって来た。自分達の単なる悪巫山戯に対して、その生活を、さらにその生命までも脅かそうとしていることを思うと、そのまま引っ込んではいられなかった。平三は、竹駒稲荷の何もかも敲き壊してやろうと考えた。鳥居も祠も、悪い使いをするとの白狐をも撲り殺してやろうと考えた。併しその興奮は日の経つにつれて鎮まった。
或る時、平三は酒を呑んでいて、ふと憤怒に眼醒めた。彼はその憤怒を一入燃え立たそうとして酒をあおった。酒を酒を、あおってあおって彼はぐでんぐでんに酔っ払って出掛けて行った。
「こらっ! 糞垂稲荷! よくもジョンを殺したな! 勝手に俺等の部落さ来やがって、よくも俺とこのジョンを殺したな!」
平三は祠への階段を上りながら無暗に怒鳴った。そして彼は階段を上りきると、そこの赤い鳥居へ力任せに身体を打ち付けた。
「なんだえ! あんな禿頭に祈られたからって、俺んとこの犬を殺しやがって。糞垂稲荷め! お宮も何も敲き壊してやるから。