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しゃよう

斜陽

太宰 治

「新潮 第四十四巻第七号~第十号」1947(昭和22)年7月1日~1947(昭和22)年10月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,822 字 · 176 页

青空文庫

「いいんですって」

「まあよかった」

と、しんから嬉しそうな顔をして下さった。

私はお咲さんに、村の皆さんへどんな形で、お礼とお詫びをしたらいいか、相談した。お咲さんは、やはりお金がいいでしょう、と言い、それを持ってお詫びまわりをすべき家々を教えて下さった。

「でも、お嬢さんがおひとりで廻るのがおいやだったら、私も一緒について行ってあげますよ」

「ひとりで行ったほうが、いいのでしょう?」

「ひとりで行ける? そりゃ、ひとりで行ったほうがいいの」

「ひとりで行くわ」

それからお咲さんは、焼跡の整理を少し手伝って下さった。

整理がすんでから、私はお母さまからお金をいただき、百円紙幣を一枚ずつ美濃紙に包んで、それぞれの包みに、おわび、と書いた。

まず一ばんに役場へ行った。村長の藤田さんはお留守だったので、受附の娘さんに紙包を差し出し、

「昨夜は、申しわけない事を致しました。これから、気をつけますから、どうぞおゆるし下さいまし。村長さんに、よろしく」

とお詫びを申し上げた。

それから、警防団長の大内さんのお家へ行き、大内さんがお玄関に出て来られて、私を見て黙って悲しそうに微笑んでいらして、私は、どうしてだか、急に泣きたくなり、