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あたらしきぶんがく

新らしき文学

坂口 安吾

「時事新報」1933(昭和8)年5月4日~6日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,586 字 · 8 页

青空文庫

そのものによる批判

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現在プロレタリア文学は、その反逆的な闘争的な点に於て一つの意義と役割をもつが、人間を安易に仮定し、文学の唯一の領域たる個体を、血と肉に縁のない概念の中へ拉し去り曖昧化し、科学への御用的役割を務めるのは凡そ意味ない。文学本来の面目に反している。

現在ソヴィエト・ロシヤに於て文学に課せられた一つの課題は社会的な感情を探り出し書きあらわすことであるというが、文学の反逆的な役割を巧に瞞着した為政者の手腕もさることながら、漠然として社会感情を探しあぐねるロシヤ作家のだらしなさは滑稽である。文学は永遠に政治に対する反逆である。個人のために血と肉の人間悲劇を語らなければならない。

日本のプロレタリア文学は一つの宣伝文として或いは有効である。なぜなら科学と協力し妥協することによって、一つの昂奮をもたらすことはできるから。しかしそれは文学本来の昂奮でなく、感銘でない。寧ろ完全に非文学的なものである。やがて政治の御用文学となるそれである。それはもはや文学でない。

そのものによる批判

芸術は反逆精神のあらわれであり、時代創造的な意志によって出発し、同時に意義をもつものであることを述べた。